刀鍛冶職人 川崎晶平

著者:株式会社ミラック光学 代表取締役

私の大学時代の友人である川崎仁史氏が、刀鍛冶職人になっています。
銘を“晶平(あきひら)”と切る。

    ボクシング部で一緒だった同期ですが、学生時代の強烈な思い出がひとつ。
ボクシング部の練習の最後は、明治大学和泉校舎裏の神田川沿いを7~8㎞程ロードワークするのが
日課となっていましたが、私がよもやの右足肉離れで走れなくなった時、激痛で苦しむ私を、残り1㎞以上の距離を部室まで背中に背負って連れ帰ってくれた漢です。
先日、本人にその話しをしたら「そんなこと、あったっけ?」と言っていましたが、怪我をした私自身が鮮明に覚えているので間違いありません。優しい漢です。

そんな川崎晶平が東京で個展を開催するとの知らせを受け、週末に個展会場へ向かいました。
久しぶりに再会した彼は、学生時代以上の筋肉をまとった体格と、変わらない優しい笑顔に加え、刀鍛冶職人としての風格・オーラに包まれていました。

彼の壮絶な、厳しい内弟子時代の話しは著書“テノウチ、ムネノウチ”を是非読んで頂ければと思いますが、厳しい下積み時代を経て独立し、現代の刀鍛冶職人としての確固たる地位と名声を築いた努力は、賞賛に値します。

数々の賞を受賞し続け、刀という作品を作り上げるたびに「次はもっと良い作品を作れるのではないか」と常に貪欲に取り組む職人としての姿勢に、友人でありながらも一人の人間として感銘を受けました。

日本刀の知識はほとんどない私が、個展で彼の作品のひとつを実際に手に持たせてもらった瞬間、その重さとともに、「この刀には“魂”が宿っている」と感じ、なにか生命が吹き込まれた生き物のような錯覚を覚えました。

いまや、日本を代表する刀鍛冶職人になった川崎晶平の作品をいつか購入したいと夢だけが先走りますが、刀に選ばれる人間にならなければ…と、己の不甲斐なさを感じたひと時でもありました。

川崎晶平には、「人間国宝」になってもらいたい。
そんな作品を作り続ける彼に負けないよう、私は産業用のものづくりという仕事において、最終ユーザー様に評価され、喜んで頂ける製品を作り続けなければいけない。今のままでは、ぜんぜん努力が足りない。
川崎晶平から、ものすごいエネルギーに満ちた日本刀を喉元に突き付けられ、ハッと今の自分の甘さに気づいたような気持ちです。

友人が己の道をまっすぐに突き進んでいる、川崎晶平の作品も人間性も研ぎ澄まされている光景を見て、大いに刺激を受けた一日でした。

帰り際に川崎晶平の著書を購入し、サインをしてもらった時に彼が書いてくれた言葉。
『無駄の中に宝がある』
肝に銘じて、頑張ります。

感謝‼

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ブログ「テノウチ、ムネノウチ」