大学ラグビー日本一 王座奪還

著者:株式会社ミラック光学 代表取締役

2026年1月11日(日曜)、決戦の日。
雨戸をバタバタと叩く強い風の音で目が覚める。
「強風…。まずいなぁ…。試合時間もこの強風が吹いていたら、コンテストキックを多用する今季の明治ラグビーには致命的な天候になるかもしれない…。それとも神風になるか…」
ふと、頭をよぎる。そうだ、「坂の上の雲」に少し似ている。
“天気晴朗ナレドモ波高シ”なんとなく、予感がした。

明治大学ラグビー部の7年ぶり大学王座奪還の瞬間を見るべく、国立競技場へ向かう。
今日の試合、早稲田有利が下馬評である。
・明早戦と大学選手権で1シーズンに2回対戦すると、連勝はできないという大学ラグビー界のジンクス(今季は明治が12月の明早戦に勝利している…)
・対抗戦優勝で1位通過の明治は、大学選手権のトーナメントで比較的戦いやすい山を勝ち上がり、早稲田は優勝候補がひしめく死の山を勝ち上がり、早稲田には自信と勢いがある。
・12月の明早戦で敗れた早稲田はリベンジに燃え、間違いなく圧倒してくる。
・大学選手権準決勝第一試合で早稲田が帝京を倒した時のラグビーの完成度が高く、早稲田らしい素晴らしい試合内容だった。

不利な要素を挙げればキリがないが、しかし本当に不思議なもので、明治と早稲田は“どちらかが有利”と言われた試合ほど、逆の結果になるシーンを何度も見てきた私は、絶対的な根拠もないのに「坂の上の雲」のイメージが抜けずに「勝てる!」と信じた。
明早戦・大学選手権と早稲田に2連勝して大学王座に輝くとしたら、実に29年ぶり。
「歴史が動く!」となぜか胸がざわついた。

試合結果については、周知のとおり。
SNSや雑誌や新聞や、さまざまな媒体で試合内容も報道されているとおりなので、私のような素人の観戦レポートは不要かと。

ただ、スタンドで観戦していた時の感想は、「明治大学ラグビー部にとって、今季一番の内容。
早稲田の長所を消し、自分たちの土俵に引きずり込んでいる。
前へ出るディフェンス、倒れてもすぐに立ち上がる姿、1ヶ月前の明早戦でやられまくったスクラム戦の修正…。
ディフェンスの勝利。
個人技もあったが、この日は何もかもが“オールコネクト”のスローガン通りにつながっていた」と感じた。
後半最後の早稲田の猛攻をしのぎ、反則を誘ってノーサイドの笛が鳴る。
涙がドッと溢れた。
優勝したことだけに泣いたのではない。スタンドで応援をする大勢のファンも含めて、きっと“明治大学”のすべてがつながって勝利した一体感の強さが、過去に経験したことがない不思議な感情となって込み上げてきたからかもしれない。

素晴らしい試合をありがとう。
新しい扉を開いてくれてありがとう。

14回の大学王座に輝いた試合はすべて素晴らしいが、今回の優勝は特に“深み”がある。
諦めてはいけない、妥協してしまってはいけない、今何をすべきか。
試合に勝って勝負に負けた“明慶戦”から2ヶ月ちょっとで、よくぞ選手全員が率先してチームを建て直したことに感極まる。
そして首脳陣、スタッフ、裏方さん、ファンも含めて最後にすべてが一つに固まった。
メンバーもノンメンバーも、この優勝に至る過程を経験した部員たちは、社会に出てから誰もがきっと伸びるに違いない。

ノーサイド後も、優勝セレモニーが終わった後も、スタンドに残り続けて明治大学ラグビー部の胴上げの様子や喜びを分かち合う様子をずっと見届けていた。
幸せな時の流れだった。

選手を育て、人を育てる。
最高の『前へ、その先へ~』に、ひたすら酔いしれた。

追伸
この大学選手権決勝戦に、私は大学2年生の息子を誘いました。
「入学してから、まだ一度も明治のラグビーを試合会場で観たことないだろ?7年ぶりの大学王座奪還、29年ぶりの快挙を目撃できるかもしれない。断わられるのも承知のうえで、チケットは余分に買ってある。
成人式の前日だけど、一緒に行かないか?」
ちょっと意外でしたが、期待していた返事が。「いいよ。」
毎年ラグビー観戦をするたびに思うこと。私を含めた観客の高齢化をなんとかしないと。
若い世代のラグビー観戦、六大学野球観戦離れに歯止めをかけ、仲間と一緒に母校を応援するおもしろさの仕掛け作りをしないと…。
「このままではいけない。大学が動かないなら、俺一人でもできることはやろう。
まずは息子。学生世代に明治の“前へ”の哲学や“その先へ~”に込められた想いは何かを伝えたい。
その人生訓はこれからの人生の原点となり、大きな壁にぶち当たった時に立ち返る場所になるはずだ。
その光景を国立競技場でリアル観戦することは、私がかつて“雪の明早戦”をきっかけにラグビーに恋に落ちたように、息子の生き様のなんらかきっかけになるかもしれない…」
そんな何かを感じ取ってもらえたら、学生世代にバトンをつないで、その輪を広げていけるかもしれない。
親ばかですが、そう念じながら一緒にスタンドから声援を送り、観戦をしました。
(一緒に紫紺のレプリカジャージも着て)
これが私なりの「凡事徹底」でした。

最後に 坂の上の雲(オープニング)(ユーチューブ動画)

彼らは、明治という時代人の体質で、前をのみ見つめながら歩く。
上っていく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、
それのみを見つめて坂を上ってゆくであろう。

※明治大学校歌の歌詞を連想させる時代背景。
来季も胸を張って校歌を歌えるように、頑張ろう!