「XYステージ」カテゴリーの記事一覧
薄型ラック&ピニオン式ステージを使用した側面外観検査治具の改善
金属プレスメーカーの外観検査工程で使用している側面外観検査冶具の改善事例です。
課題:段差のあるワークの観察に時間がかかり、検査台数が増えません。
段差のあるワーク側面の外観検査を行っています。ひとつのワークの検査をするにあたって、CCDカメラのピント合わせを段差面ごとに行う必要があります。
ワーク置台は、2枚のプレートで構成されていて、それぞれが2本のボルトで固定されています。CCDカメラに対してワークを水平に移動させるには上のプレートのボルト、CCDカメラのピントを合わせるには下のプレートのボルトを緩めて、各プレートをスライドさせます。
ひとつのワークを検査するのに、4本のボルトを締めたり緩めたりしなければならないため検査に時間がかかります。そのため、検査台数も増えません。
解決!3軸ステージの採用で、段差のあるワークも短時間で検査できます。
3軸(X・Y・Z)が可動する位置決めステージにCCDカメラを装着しました。
最下段のステージは、ワークに対して平行に移動し、中段のステージはCCDカメラのピント合わせに使用します。また、ワークの厚さが変わり、CCDカメラの高さを変えたい時には最上段のステージで合わることができます。いずれの位置決めステージもハンドルを回すだけで好きな量だけ移動させられます。
ボルトを締めたり緩めたりする必要がないため、検査時間が短縮でき、検査台数も増やすことができました。
薄型ラック&ピニオン式ステージ(XSO-50/ZSO-50) の特徴
- アリ溝の摺り合わせ技術で薄型・滑らか摺動・高品質・高耐久性・低価格を実現しました。
- ハンドル形状、目盛板、ストッパー形状、Z軸ブラケット、等をお好みで自由に選択できるユーザー仕様のステージです。
- ステージ面:30mm×50mm(XSO-50/ZSO-50 共通)
- 移動量:±17mm(XSO-50/ZSO-50 共通)
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理:梨地黒アルマイト
応用のポイント : 位置決めステージ取付け時の注意事項
位置決めステージは、出来るだけ平面度の良い面に取付けて下さい。
取付ける部分の平面度が良くない場合、ステージ面の摺動時にムラ(ハンドル操作が重くなったり軽くなったり)が発生することがあります。
位置決めステージ本来の性能が損なわれないよう取り付け面の平面度にご注意ください。
セミオーダーステージを使用した深穴検査治具作製による品質改善
樹脂成型メーカーの検査工程で使用している検査治具の改善事例です。
課題 : カメラ部が手振れにより、不良の検出もれが発生していました。
成形品の深穴部に成形不良や異物付着がないかを工業用内視鏡を使用して検査しています。工業用内視鏡のケーブルを手に取って、ゆっくりと深穴に挿入します。
ケーブルの先端にはカメラが装備されていて、穴の中の様子は工業用内視鏡のモニターに映し出されます。
その画像を見ながら検査するのですが、ケーブル(カメラ)の手振れによる見づらさで不良の検出もれが多発することがありました。
解決! ケーブルをステージに固定することで、手振れがなくなり検出もれが改善しました。
工業用内視鏡のケーブルをケーブルホルダーに通して、ステージに固定しました。ハンドルを回すことで、ケーブル先端のカメラ部が深穴に挿入されていきます。
ステージの安定した滑らかな摺動により、ケーブルは手で持って検査していた時よりもスムーズに送ることができ、手振れのない画像が確認できるようになりました。
その結果、これまで見落としてきた不良が検出できるようになりました。不良検出力の向上は、後工程の品質確保に大いに貢献しています。
セミオーダーステージ(SO-5)の特徴
- ハンドル・予圧調整ネジ・目盛・ストッパー・Z軸ブラケットなどが自由に選択できるユーザー仕様のステージです。
- 薄型・軽量で、ラック&ピニオン式と送りねじ式の両方式があり、使用するレイアウトにより選択していただけます。
- この事例では、送りねじ式のステージ(40×80mm)を使用しています。目盛とストッパーは不要なのでありません。
- ハンドル一回転の移動量:4.2mm
- 耐荷重:34.3N(3.5kgf)
- 移動量:±30mm
- 目盛最小読取り:0.1mm
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理:梨地黒アルマイト
応用のポイント:ハンドルの向きは変えられます。
お客様から「ハンドルを逆側につけられるか?」と言ったお問い合わせがよくあります。ステージを機械装置に組み込む際に、ハンドルの向きが障害になるケースがあります。
セミオーダーステージでは、下図のようにハンドルを逆側に付けることができます。
他にも、ハンドルの長さ延長や容易に回らないようにハンドルを固定させることが可能です。ハンドルについてのご要望がございましたら、どんなことでもご相談ください。
また、ハンドル以外のご要望についてもお気軽にご相談ください。
グリスレスステージを使用したゴム伸縮検査治具改良による品質改善
ゴム成形メーカの検査工程で使用している検査治具の改善事例です。
課題 : ステージに塗布されたグリスが製品に付着してしまう!
ワーク(製品のゴム)を、既定の長さに伸ばした時の張力が規格内であるか、フォースゲージを用いて検査しています。
ご納品先のお客様より、「油のような汚れが付いている」とクレームがあり調査したところ、ゴムをフォースゲージのフックとステージにあるシャフトにセッティングする時、もしくはそれらから外す時に、ステージのラック部に塗布しているグリスが付着してしまうケースがあることが確認できました。
しかしながら、ステージの滑らかな摺動を維持するためには、グリスを塗布するメンテナンスが必要でした。
そのため、ワークへのグリス付着問題の対策として、「作業注意」で対応しました(つまり、「グリスが付着してしまう事があるので、注意しましょう。」と各作業者に伝えるのみの対処でした)。
ただ、治具の機構上の、グリス付着の問題が根本的に解消されないまま、作業者の注意力や意識に頼った方法では、やはり問題を解消できず、再発が確認されてしまいました。
それぞれの作業者は良く注意して努力はしてくれていたものの、残念なことに、出荷前の外観検査でグリスが付着したものが発見されました。
解決! グリスレスステージにして、製品へのグリス付着が無くなりました!
確実な対策の必要を感じ、そもそもグリスが付着しようのない治具を制作できないかと模索していたところ、グリスレスのステージがあることを知り、採用することにしました(ミラック光学製『スケルトンステージ』)。
グリスレスのスケルトンステージの採用で、ワークの付け外しにおいてグリスが付着することが皆無になり、お客様からのクレームもなくなりました。
樹脂製のステージの採用は初めてでしたが、グリスが無くても従来の金属製ステージと遜色なく滑らかに摺動するため、はじめから違和感なく検査することができました。
その上、金属製のステージでは必要だった、定期的に適量のグリスを塗布する、といったメンテナンスもすべて不要になりました(グリス付着の問題があったため、「塗りすぎないように、必要最低限の量を・・・」と注意して作業していたため神経を使いましたし、頻度も多くしていました)。
本来の作業目的である、ワークの張力検査の結果に集中して作業できるようになり、かつ安心して出荷できるようになりました。
スケルトンステージ (SK-60R) の特徴
- グリスレス - 樹脂が持つ自己潤滑性により、グリスを使わずに滑らかな摺動を実現。
メンテナンスフリー。 - 自重 : 0.11 kg (アルミ製と比較して1/2の軽さ)
- ステージ本体 : PMMA(アクリル)⇔ XYステージ 他 全ステージはアルミ合金製
- ステージ面 : 40x60mm
- 移動量 : ±21mm
- 目盛最小読取り : 0.1mm
- ハンドル一回転の移動量 : 18mm
- 耐荷重 : 16.9N (2.0kgf)
- カラー : クリア ・ 赤 ・ 青 ・ 黄色
応用のポイント:他にも、従来のアルミ製ステージにはない下記の特徴があります。
- 防錆性 部品は全て樹脂製であるため水や塩水などに濡れても錆びない。
- 非磁性 磁性を持たないため磁気を嫌う用途に最適。
- 耐候性 屋外や水中でも使用可能。
あるお客様からのリクエストで生まれた製品ですが、各方面から多くのご支持をいただき
ました。防錆・磁性・耐候性でお悩みのユーザー様にもお勧めできる製品です。