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2013年08月の記事一覧

3軸(XYZ)ステージを使用したLED発熱検査治具の改善

2013年08月30日

電子部品メーカーの検査工程で使用しているLED発熱検査治具の改善事例です。

課題: サーモグラフィの位置決め作業がとても面倒で、時間がかかります。

サーモグラフィーの位置決め。両手を使って慎重に作業する必要があり、時間がかかった。

サーモグラフィを使用してLEDの発熱を検査しています。温度の計測に当たり、まずマグネットスタンドに装着されたサーモグラフィをワーク(LED基板)の真上に位置決めしなければなりません。

まず片手でサーモグラフィを支え、もう片方の手でつまみを緩めて位置を決めます。その後、つまみを少しずつゆっくり締め、位置の設定を完了します。つまみをゆっくり締めるのは、設定した位置がズレないようにするためです。両手で慎重に作業しなければならないのでとても面倒で、時間がかかっています。

解決! 3軸ステージを使うことで、短時間で位置決め出来るようになりました。

XY軸ステージとZ軸ステージを組み合わせた位置決めステージに。片手でのハンドル操作で、簡単に正確な位置決めが可能に!

XY軸ステージに、サーモグラフィを装着したZ軸ステージを組み合わせました。

サーモグラフィは、LED基板に対して常に垂直なので、あとはXY軸の位置決めステージとZ軸の高さ決めステージで、位置と高さを合わせるだけです。

マグネットスタンドでは両手を使って位置決めしますが、XYZ軸ステージでは各ステージのハンドルを片手で操作して位置決めすることができるので、とても簡単に、手早く設定できます。位置が決まったら、各ステージにあるストッパーを回して設定位置を固定します。これで位置がズレる心配もありません。

XY軸ステージ(XYJK-60)及びZ軸ステージ(ZJK-90)の特徴

  • 熟練の技によるアリ溝の 摺り合わせ技術で高品質・低価格を実現しました。滑らかな摺動と高耐久性が特徴です。
  • クランプレバーの採用により固定保持力もアップし、レバーの位置方向セットも自在です。
  • 送り方式 : ラック&ピニオン式
  • ハンドル一回転の移動量 : 18 mm
  • 移動精度(真直度) : 0.03 mm (※応用のポイント参照)
  • ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
  • 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用のポイント:ステージの移動精度(真直度)とは

真直度とは、ステージをフルストローク移動させた時、始点と終点を結ぶ直線に対して、垂直方向、水平方向に、それぞれどれだけ蛇行しているかを表す数値です。ステージの選定にあたっては、「どれだけの移動精度が必要か?」をあらかじめ確認しておきましょう。

真直度の計測方法は次の通りです。
ストローク端から一方向に、一定間隔で順次位置決めを行います。それぞれの位置決め点における垂直方向、水平方向それぞれの変位長さ(上下、左右の蛇行の距離)と基準位置(ストローク端)との差を、位置決めを行った各位置の測定値とします。
始点と終点での測定点を結んだ幾何学的直線と、各位置決め位置での計測値との最大差が、そのステージの真直度となります。真直度には、垂直方向と水平方向があります。

 

テレセントリックレンズを使用した穴径寸法測定治具の改善

2013年08月21日

金属加工メーカーにおける、検査工程での穴径寸法測定治具の改善事例です。

課題: ワークの穴径を測定していますが、測定値がバラついて困っています。

顕微鏡を使用した穴の内径測定治具。測定値がバラつき、作業性も悪い。

加工後のワークの穴径を顕微鏡とXYステージを使って測定しています。顕微鏡(対物レンズ)の真下にワーク(穴中心)が来るように、ワーク下部のXYステージで正確に位置を決めなければなりません。顕微鏡を覗きながらの作業なので時間がかかり、作業が長時間に及ぶと目も疲れます。

また、ワークの位置決めがうまくいっても、穴の壁面(穴の内側の側壁)が見えてしまい、測定の邪魔になります。測定ポイントが捉えづらく、測定値のバラつきが発生してしまいます。正しい測定値が得られない場合、再度ワークの位置決めからやり直して再測定しています。

この治具の課題は、ワークの中心の位置決めの難しさと計測に適さない穴の見え方で、これらは作業者の習熟や努力では解決できない問題でした。

解決! テレセントリックレンズの採用で、作業性と測定精度が向上しました。

テレセントリックレンズの採用で、作業性・測定精度がともに向上!

対物レンズを使用する顕微鏡に替えて、テレセントリックレンズとUSBカメラの組合せに変更しました。

テレセントリックレンズは、一般的な球面のレンズとは異なり、被写体からの光が光軸に対して平行に通過して像を結ぶレンズです(光軸と主光線が平行、画角が0°)。そのため、被写体とレンズとの距離が変わっても映像の大きさが変わったり、歪みが生じたりしないという特徴があります。

まず、ワークの位置決めは従来通りXYステージで行いますが、テレセントリックレンズを使用することで、以前のような慎重な位置決め作業が不要になりました。穴の中心をレンズの真下に正確に合わせなくとも像が歪まないため、作業性が大きく改善されました。

また、テレセントリックレンズなら、遠近による像の歪みも生じないため、穴の内側の壁面が見えてしまうことがなくなります。測定ポイントが捉えやすくなり、その結果、測定値のバラつきの問題も解消され、やり直しの再測定もほぼなくすことができました。

テレセントリックレンズ(MRC2-40)の特徴

高精度の位置決めや寸法測定に最適で、高解像度・低ディストーションを実現した画像認識用レンズです。
コンパクト&リーズナブルな設計により、装置やその他周辺部品の設計もコンパクトにできます。

  • 光学倍率 : 2倍
  • 有効F値 : 14.2
  • TVディストーション : -0.001%
  • 作動距離(ワーキングディスタンス=被写体と光学系の距離): 40.2mm
  • マウント : Cマウント
  • 質量 : 27g
応用のポイント:テレセントリックレンズの特長

テレセントリックレンズは、主光線がレンズ光軸に対して平行な特殊レンズです(下図参照)。ピント調節の際にワークが上下しても像の大きさ(倍率)に変化がなく、ワーク面全体を真正面から観察できるのが特長です。従って、高精度の位置決め・寸法測定・外観検査に最適です。

テレセントリックレンズとは

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