「XYステージ」カテゴリーの記事一覧
セミオーダーステージを使用した深穴検査治具作製による品質改善
樹脂成型メーカーの検査工程で使用している検査治具の改善事例です。
課題 : カメラ部が手振れにより、不良の検出もれが発生していました。

成形品の深穴部に成形不良や異物付着がないかを工業用内視鏡を使用して検査しています。工業用内視鏡のケーブルを手に取って、ゆっくりと深穴に挿入します。
ケーブルの先端にはカメラが装備されていて、穴の中の様子は工業用内視鏡のモニターに映し出されます。
その画像を見ながら検査するのですが、ケーブル(カメラ)の手振れによる見づらさで不良の検出もれが多発することがありました。
解決! ケーブルをステージに固定することで、手振れがなくなり検出もれが改善しました。

工業用内視鏡のケーブルをケーブルホルダーに通して、ステージに固定しました。ハンドルを回すことで、ケーブル先端のカメラ部が深穴に挿入されていきます。
ステージの安定した滑らかな摺動により、ケーブルは手で持って検査していた時よりもスムーズに送ることができ、手振れのない画像が確認できるようになりました。
その結果、これまで見落としてきた不良が検出できるようになりました。不良検出力の向上は、後工程の品質確保に大いに貢献しています。
セミオーダーステージ(SO-5)の特徴
- ハンドル・予圧調整ネジ・目盛・ストッパー・Z軸ブラケットなどが自由に選択できるユーザー仕様のステージです。
- 薄型・軽量で、ラック&ピニオン式と送りねじ式の両方式があり、使用するレイアウトにより選択していただけます。
- この事例では、送りねじ式のステージ(40×80mm)を使用しています。目盛とストッパーは不要なのでありません。
- ハンドル一回転の移動量:4.2mm
- 耐荷重:34.3N(3.5kgf)
- 移動量:±30mm
- 目盛最小読取り:0.1mm
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理:梨地黒アルマイト
応用のポイント:ハンドルの向きは変えられます。
お客様から「ハンドルを逆側につけられるか?」と言ったお問い合わせがよくあります。ステージを機械装置に組み込む際に、ハンドルの向きが障害になるケースがあります。
セミオーダーステージでは、下図のようにハンドルを逆側に付けることができます。

他にも、ハンドルの長さ延長や容易に回らないようにハンドルを固定させることが可能です。ハンドルについてのご要望がございましたら、どんなことでもご相談ください。
また、ハンドル以外のご要望についてもお気軽にご相談ください。
グリスレスステージを使用したゴム伸縮検査治具改良による品質改善
ゴム成形メーカの検査工程で使用している検査治具の改善事例です。
課題 : ステージに塗布されたグリスが製品に付着してしまう!

ワーク(製品のゴム)を、既定の長さに伸ばした時の張力が規格内であるか、フォースゲージを用いて検査しています。
ご納品先のお客様より、「油のような汚れが付いている」とクレームがあり調査したところ、ゴムをフォースゲージのフックとステージにあるシャフトにセッティングする時、もしくはそれらから外す時に、ステージのラック部に塗布しているグリスが付着してしまうケースがあることが確認できました。
しかしながら、ステージの滑らかな摺動を維持するためには、グリスを塗布するメンテナンスが必要でした。
そのため、ワークへのグリス付着問題の対策として、「作業注意」で対応しました(つまり、「グリスが付着してしまう事があるので、注意しましょう。」と各作業者に伝えるのみの対処でした)。
ただ、治具の機構上の、グリス付着の問題が根本的に解消されないまま、作業者の注意力や意識に頼った方法では、やはり問題を解消できず、再発が確認されてしまいました。
それぞれの作業者は良く注意して努力はしてくれていたものの、残念なことに、出荷前の外観検査でグリスが付着したものが発見されました。
解決! グリスレスステージにして、製品へのグリス付着が無くなりました!

確実な対策の必要を感じ、そもそもグリスが付着しようのない治具を制作できないかと模索していたところ、グリスレスのステージがあることを知り、採用することにしました(ミラック光学製『スケルトンステージ』)。
グリスレスのスケルトンステージの採用で、ワークの付け外しにおいてグリスが付着することが皆無になり、お客様からのクレームもなくなりました。
樹脂製のステージの採用は初めてでしたが、グリスが無くても従来の金属製ステージと遜色なく滑らかに摺動するため、はじめから違和感なく検査することができました。
その上、金属製のステージでは必要だった、定期的に適量のグリスを塗布する、といったメンテナンスもすべて不要になりました(グリス付着の問題があったため、「塗りすぎないように、必要最低限の量を・・・」と注意して作業していたため神経を使いましたし、頻度も多くしていました)。
本来の作業目的である、ワークの張力検査の結果に集中して作業できるようになり、かつ安心して出荷できるようになりました。
スケルトンステージ (SK-60R) の特徴
- グリスレス - 樹脂が持つ自己潤滑性により、グリスを使わずに滑らかな摺動を実現。
メンテナンスフリー。 - 自重 : 0.11 kg (アルミ製と比較して1/2の軽さ)
- ステージ本体 : PMMA(アクリル)⇔ XYステージ 他 全ステージはアルミ合金製
- ステージ面 : 40x60mm
- 移動量 : ±21mm
- 目盛最小読取り : 0.1mm
- ハンドル一回転の移動量 : 18mm
- 耐荷重 : 16.9N (2.0kgf)
- カラー : クリア ・ 赤 ・ 青 ・ 黄色
応用のポイント:他にも、従来のアルミ製ステージにはない下記の特徴があります。
- 防錆性 部品は全て樹脂製であるため水や塩水などに濡れても錆びない。
- 非磁性 磁性を持たないため磁気を嫌う用途に最適。
- 耐候性 屋外や水中でも使用可能。
あるお客様からのリクエストで生まれた製品ですが、各方面から多くのご支持をいただき
ました。防錆・磁性・耐候性でお悩みのユーザー様にもお勧めできる製品です。
薄型XY回転ステージを使用した外観検査治具の改善
部品メーカーにおける出荷前の外観検査工程での検査治具の改善事例です。
課題 : ワークが変わるたびにターンテーブルの位置を変更、ボルトの締結が面倒!

ワークをターンテーブルの上に載せ、回転させて外周の外観を検査しています。
ワークが変わるたびに、ターンテーブルの位置変更が必要です。この時、ボルト8本を
緩めてテーブル置台の位置を修正し、最後にボルトを締めます。
ボルトを締める際に、テーブル置台がずれることもあり少しずつゆっくり締める必要
があります。そのため、テーブル置台の位置修正は面倒かつ時間がかかります。
解決! 薄型XYステージを採用、作業性アップと省スペース化を実現!

ターンテーブルとテーブル置台の替わりにXY回転ステージを使用することにしました。
各軸にあるストッパーを緩めてハンドルを回し、ワークの位置が決まったらストッパーを
かければ作業完了です。
これまでのように、わずらわしいボルトの作業が無いので非常に簡単、短時間で位置
決めと固定が出来るようになりました。さまざまな形状のワークでも同様(簡単・短時間)に
位置決めと固定が出来ます。
また、改善前のターンテーブルの位置決め作業では、ボルトを締める際に決めた位置が
微妙にずれてしまうなど、作業に習熟している必要があったため限られたスタッフにしか
出来ませんでした。薄型XY回転ステージに変更後は、ハンドル操作だけで正確で微小な
位置調整が、誰にでも簡単に出来るようになりました。その結果、ワークの切り替えロス
時間も少なくなりました。
さらに、薄型XY回転ステージはテーブル置台と比べコンパクトな大きさなので、作業
スペースがスッキリし気持ちよく作業できます。
薄型XY回転ステージ(XYR-60)の特徴
- 従来品の組合せより約半分の薄型(高さ45mm)で、外観が円盤形状のコンパクトな一体型複合機能ステージです。
- ステージ面:φ60mm
- 移動量:(XY方向) ±21mm (回転方向) 360°
- ハンドル一回転の移動量:4.2mm
- 耐荷重:34.3N (3.5kgf)
- 自重:0.39 kg
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理:梨地黒アルマイト
約半分の薄さを実現!
薄型XY回転ステージ(XYR-60)は、従来の組合せステージの約半分の高さ(当社従来比)を
実現しました。あるお客様から、「低くてコンパクトなステージを!」とのリクエストを
いただき開発された製品です。
XYステージと回転ステージを中継ブロックを介して組み合わせる従来の方法では、高さが
93mmありました。これら2つのステージを一体化しつつ、部品の削減や薄型化を図ること
で、高さを45mmまで低減させることができました。

応用のポイント:最適な構成で治具を製作
この事例で使用している薄型XY回転ステージ以外の治具構成部材も、弊社ミラック光学の
製品群をご採用いただきました。
- 薄型XYステージを置くスタンド
- ワークの形状を捉えるテレセントリックレンズ
- レンズを装着してピントを合わせるための摺動ホルダー
- モニタリングのためのCCDカメラとモニター
豊富なラインナップの中から、お客様のご希望に沿った最適な製品をアレンジしてご提供
することができます。どうぞお気軽にご相談ください。
