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検査顕微鏡を使用したクラック検査用設備の改善

2014年02月10日

プラスチック成形メーカーの外観検査工程における検査設備の改善事例です。

課題: 拡大鏡によるクラック有無の検査。見落としが頻繁に発生します。

拡大鏡を使った検査。倍率不足で見落としが発生、見る角度によって見え方が異なり、検出力にバラつきが出ていた。

樹脂成型したワークのボスの根元に発生するクラック(成形品の表面に見える毛髪状の小さいひび)の有無を検査しています。

ワークを載せたターンテーブルをゆっくり1回転させながら、拡大鏡でワークのボスの周囲を360°検査します。検査に使用している拡大鏡の倍率では、小さなクラックは見つけづらく、見落としが頻繁に発生しています。そのため、1回転で済む検査を2回転・3回転させるなど慎重になり、検査時間も増えてしまいました。

また、拡大鏡を通してワークを見る角度によってクラックの見え方が異なるため、作業者による検出力に差が発生してしまい、品質のバラツキとなっていました。

倍率を上げるため顕微鏡の使用も検討しましたが、スペースの問題で配置することができませんでした。
ターンテーブルの周囲には、検査前後の部品とNG部品それぞれのトレイがあり、さらにターンテーブルを回す手の動作スペースも必要でした。残されたスペースは限られており、顕微鏡スタンド(ベース面:330mm×280mm)では大き過ぎ、顕微鏡は採用できずにいました。

解決! 検査顕微鏡への変更で見落としが無くなり、省スペース化も実現!

検査顕微鏡を採用。ネックだったスタンドのスペースの問題は、Xステージとあおり旋回ステージを組み合わせることで解消しました。

クラックが発生する場所(ワークのボスの根元)にピントを合わせておき、ターンテーブルを1回転させながらボスの根元を検査します。拡大鏡より大きく見えるので、これまで見落としていた小さなクラックも安定して検出可能になりました。
クラックを探すように2回転、3回転させて検査しなくても良くなったため、検査時間も短縮させることができ、さらに作業者間で生じていた検出力のバラツキも減少しました。検査精度も向上したため、ワークそのものの品質の改善にも寄与しました。

検査顕微鏡の設置にあたってネックになっていたスペースの問題は、顕微鏡スタンドに代えてあおり旋回ステージ(ベース面:70mm×70mm)とX軸ステージを組み合わせたユニットを使用することでクリアできました。他の検査工程では、XYステージとも組み合わせました。
顕微鏡を狭いスペースに納めることができただけでなく、クラックを精緻に確認できる位置と角度に、正確にセットできるようになりました。

また、この検査工程では、一つの作業台で4工程の検査作業を行っています。全行程をあおり旋回ステージとX軸ステージの組合せユニットに変更したことで、大幅な省スペース化を実現できました。工程間の配置もゆったりとレイアウトでき、作業環境も良くなりました。

検査顕微鏡「メジャースコープ [M-1(A)]」の特徴

  • レンズ系は明るく実視野が広い、完全正立像式の顕微鏡です。
  • アリ溝式ステージや摺動ホルダーとの多彩な組み合わせが可能です。
  • 接眼ミクロメータを交換するだけで、各種測定・検査・芯出し・位置決めなどさまざまな用途への対応が可能です。
  • 付属品(10倍接眼レンズ・2倍対物レンズ)
応用のポイント:顕微鏡による検査では、照明装置の選択も重要です。

顕微鏡用の照明装置として、LED照明・蛍光灯照明・ファイバー照明、等があります。ワークに光を照射することで視野が明るくかつ見やすくなり、目の疲労を軽減するだけでなく、作業精度も大幅にアップします。
また、モニター観察の際には照明装置が不可欠ですので、鮮明な映像を得るためには照射方法が大変重要な要素となります。それぞれの特長を活かした効果的なライティングを選択して下さい。

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