「回転系ステージ」カテゴリーの記事一覧
回転ステージとX軸ステージを使用した先端形状検査治具
金属加工メーカーでの切削品の外観検査治具を、X軸ステージと回転ステージを組み合わせることで改善した事例です。
課題: ワークを都度、手で抜き差しし反転、穴の両側を検査。片側の検査漏れや抜き差しによるワークの変形が問題です。

シャフトの先端にある穴形状の検査をしています。検査はマイクロスコープの画像を観察する方法で行います。マイクロスコープの位置は、マイクロスコープの下にあるX軸ステージで合わせています。
ひとつのワークについて、穴の入口と出口の2ヶ所を検査するため、その都度ワークを外して180°反転させる必要があります。このワークの抜き差しの作業ミス(作業抜け)が問題になっています。
長時間作業していると、作業者が「これからワークのどちら側を検査するのか? また、どちら側を検査し終えたのか?」が分からなくなってしまい、穴の片側の検査が漏れてしまうことがあるのです。
また、作業者が手で抜き差しする作業は、面倒で時間もかかります。その上、「その抜き差しの作業によってワークが変形してしまう」という品質面の問題もあり、最終的な部品品質の低下も課題となっていました。
解決! 回転ステージの採用で検査漏れが無くなり、作業性も改善。品質の問題も解消できました。

マイクロスコープを据付けたX軸ステージの下に台座を組み、回転ステージに取り付けました。
回転ステージ上のマイクロスコープが、ワークの外周を180°スムーズに回転、穴の両側を簡単に検査できます。ワークを抜き差しして向きを反転させる作業は不要になりました。
回転角度(180°)は、回転ステージのストッパーで予め固定されているので、作業者は終端までステージを回転させるだけでOK。回転角度を気にすることなく、確実な位置で検査ができます。
穴の片側の検査漏れの問題は、回転ステージ上のマイクロスコープの位置(手前か、奥か)によって検査している側面が一目瞭然になったことと、ワークの両側を続けざまに検査できるようになったことで、発生しなくなりました。
また、ワークを反転させるために抜き差しする必要がなくなった分、抜き差し作業でワークが変形してしまう品質の問題も減少しました。さらに、ワークを抜き差しする手間と時間より、マイクロスコープを回転ステージで180°反転させる時間の方が短く簡単なため、作業時間も短縮でき、生産効率も向上させることができました。
回転ステージ (KTS-60) の特徴
- 手動でしっとりなめらかに360°回転するステージです。耐荷重は 68.6N(7kgf) です。
- ステージ面 : φ60mm (ステージ面サイズ φ40mm の KTS-40 もあります。)
- 偏芯量 : 0.05mm
- 材質 : アルミ合金
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
- 自重 : 0.2 kg
- 付属品 : M4 (8mm) 六角穴付きボルト 4本
応用のポイント:センサー・カメラ・ワーク等の向きを変えたい時に最適です。
回転ステージ固定側に目盛(最小読取り1°)が刻んであるので、おおまかな回転角度の確認が可能です。( ステージ面サイズφ40mmのKTS-40 は最小読取り2°)
また、使用用途に応じて標準装備のストッパーをご利用ください。回転ステージ回転部をお好みの位置で固定することができます。
あおり旋回ステージを使った移動動作確認治具
玩具の製造メーカーで使用している動作確認治具の改善事例です。
課題 :検査中にワークの向きを変えなければならず、作業性が悪く困っています。

赤の部品が、緑の部品の十字溝をスムーズに移動するか検査しています。
現状のあおり治具では、1方向(手前と奥)にしか動かせないため、1回の装着では全ての確認ができず、非常に作業性が悪く困っています。
具体的には、「まず最初の1方向の確認し、その後、緑の部品を治具から一旦外して、90°向きを変え治具に再装着し、残りの方向を検査する」・・・という手順です。
解決! あおり旋回ステージで1度に全方向の確認が可能になりました。

これまで2回に分けて確認していましたが、あおり治具をあおり旋回ステージに変えることで、1回の装着で全て確認できるようになりました。
ワークを取り外して再度装着する手間が省けるので、作業時間が短縮できました。
また、以前のあおり治具と比較して、よりコンパクトなあおり旋回ステージを導入したことで、工程内もスペースに余裕ができスッキリしました。
あおり旋回ステージ(RC-60)の特徴
- 位置決め角度が自由自在に設定できます。
- また、メイン可動部を球状にすることで、従来にはない広い作動範囲を実現しています。
- アリ溝式ステージと組み合せれば、直進摺動にあおり旋回機能が付加され、あらゆる態勢の位置決めが可能です。
- ステージ面 : 60mm × 60mm
- 移動量 : 180°屈折 ・ 360°回転 旋回自在
- 自重 : 0.5 kg
- ステージ本体 : アルミ合金製
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用ポイント:今ある課題の解消だけでなく、「さらに良い作業環境を作れないか?」と考えてみる
このケースの場合、傾斜ステージを交互に2台重ねれば、同様の確認ができる治具になりますが、あおり旋回ステージであれば、これを1台で対応することができます。また、2台重ねではできない角度にも対応可能でき、大変便利です。
こうした各種ステージの特徴やメリット理解した上で、今あるお困りごとの解消だけでなく、「今までできなかった動作も実現できないか?」なとど、少し欲張って考えてみることで、より良い作業環境を構築しやすくなると思います。
あおり旋回ステージによる組立て検査治具
玩具メーカーの組立て検査工程での作業性改善事例です。
課題:ワークの向きを変えないと検査できず、手間がかかっています。

ワークの内側上部に取り付けられた部品の有無をチェックするために、わざわざワークを反転させていました。部品の有無チェックのためだけの反転作業だったので、手間と無駄を感じていました。
解決! あおり旋回ステージにミラーを取り付け、反転作業が不要になりました。

あおり旋回ステージの天面にミラーを貼り付けて、ワークを隔てた反対側に配置しました。ミラーに映るワークを見るだけで検査できます。
ミラーの向きは自由自在に設定できるので、作業者やワークの大きさが変わっても簡単に対応できます。
また、クランプレバーで固定すれば、ミラーの向きを一定に保つことができます。
あおり旋回ステージ(RC-60)の特徴

- メイン可動部を球状にすることで、自由自在な位置決めが可能です。
( 移動量 180°屈折 ・ 360°回転 ) - ステージ面 60mm x 60mm
- ステージ本体 : アルミ合金製
