「XYステージ」カテゴリーの記事一覧
XY/回転ステージ(複合ステージ)を使用した接着剤塗布治具の改善
玩具メーカーの組み立て工程で使用している接着剤塗布治具の改善事例です。
課題: 接着剤の塗布作業は効率が悪く生産台数が上がりません。
十字型のワークAの4か所の先端部分にワークBを接着する作業です。ワークAの先端部分4ヶ所の穴に、接着剤を塗布してから、ワークBを挿入します。
接着作業は、ワーク置台の目印線交点上にワークAの接着位置を合わせて塗布します。1ヶ所の塗布が終わると、ワークAの向きを90°変えて、再度接着位置を合わせて塗布します。
ひとつのワークAに対して、それを4回繰り返すので、とても効率が悪い状況です。
またワーク置台は、上面にある目印線の交点上に接着剤ディスペンサーの針が来るよう、あらかじめ位置決めしてあります。 接着剤ディスペンサーや、ワークAの大きさ及び形状が変わると、それに合わせてワーク置台の位置決めのやり直しが必要です。
ワーク置台は、4本のボルトで位置決め後に固定しますが、微小な位置修正には不向きです。 この組み立て工程では、接着剤塗布の作業とワーク置台の位置出しの、どちらも作業性が悪く困っています。
解決! XY/回転ステージ(複合ステージ)を使用し、接着剤塗布とワーク置台の位置決め作業を同時に効率化!
ワーク置台をXY/回転ステージに置き換えました。XY/回転ステージは、直交する直線ステージ(X軸とY軸)と回転ステージの複合ステージです。
接着剤塗布の作業は、まずワークAをステージ上面にセットします。次に、ディスペンサーの針の下部にワークAの塗布部が来るよう、ステージ面を回転させ接着剤を塗布します。 1ヶ所目の接着剤塗布後、回転つまみを90°ずつ 回して残りの3ヶ所を塗布します。
以前のように、1ヶ所ごとに面倒な位置合わせをする必要がありませんので、作業効率がアップし、生産台数も向上しました。また、接着剤ディスペンサーやワークの大きさ・形状が変わっても、XY軸のハンドル操作だけで塗布位置を変更できるため、簡単に対応できます。
塗布位置変更後には、ステージのストッパーを締めることで、決めたXY軸の位置をしっかりと固定できます。
薄型XY回転ステージ (XYR-90A) の特徴
従来品の組合せより30% 近く薄型(高さ50mm)でコンパクトな、一体型複合機能ステージです。
- ステージ面 : φ90mm
- 移動量 : (XY方向)±35mm (回転方向) 360°
- 自重 : 0.88 kg
- ハンドル一回転の移動量 : 4.2mm
- 耐荷重 : 34.3N (3.5kgf)
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用のポイント:XY/回転ステージ(複合ステージ)の応用例 「コンパクトな顕微鏡システム」
このXY/回転の複合ステージは、工夫次第で、いろいろな用途のコンパクトな作業治具を作成することができます。
例えば、回転ステージ面にステージ板を設置し、顕微鏡と組み合わせれば、非常にコンパクトな顕微鏡システムができ上がります。
ステージ板は、表面と裏面が白と黒に色分けされており、通常は白面側(色のついた物が見やすい)を使用します。黒面側は、白っぽい物や透明な物を観察する時に使用します。
試料の色などの特徴に応じて使い分けると、観察しやすくなります。
ステージ板の仕様
- 素材: アクリル樹脂
- 寸法: 直径 80mm、厚さ 6mm (白 3mm + 黒 3mm 貼り合せ)
多機能送りねじ式ステージを活用した絞り高さ検査治具
プレスメーカーにおける絞り工程後の高さ検査治具の改善事例です。
課題: レーザーセンサの高さ設定に手間がかかり、困っています。
絞り加工(プレス)した製品の高さをレーザーセンサで検査しています。検査する製品が変わるたびに、レーザーセンサが装着された高さ調整治具の高さを変える設定が必要です。
この治具の高さ設定は、まず2本のボルトを緩め、レーザーセンサが固定されたプレートを上げ下げして高さを決定し、最後に2本のボルトを締めて完了します。
2本のボルトは、「交互に、少しずつ」締めなければなりません。ボルトを締めている最中に、設定した高さが変わってしまうことを防ぐためです。
交互に少しずつ締める、その加減を間違ったりすると、決めた高さがすぐにズレてしまい、再度、高さの設定からやり直しになります。非常に作業性が悪く、手間がかかっています。
解決! 送りねじ式ステージで、簡単に素早く、正確な高さ設定ができます。
多機能送りねじ式ステージを採用しました。レーザーセンサの高さが、簡単に素早く、正確に設定できるようになりました。
送りねじ式ステージのハンドルを回して高さを調整し、位置が決まったらストッパーでロックするだけです。高さを固定するボルトを緩めたり締めたりする作業は必要なくなりました。
検査する製品が変わっても、すぐにレーザーセンサの高さを調整して対応できるため、以前のボルトで固定するやり方の時と比べて、治具の切り替え作業にかかっていた生産工程の時間的ロスを、大幅に低減することができました。
また、高さ調整治具の高さ設定範囲が6mmだったのに対し、送りねじ式ステージでは34mmもあるため、数種類あった高さ調整治具が、送りねじ式ステージだけで賄(まかな)えるようになりました。
多機能送りねじ式ステージ (ZTSC-70) の特徴
- ハンドル一回転の移動量を 2mm もしくは 5mm から用途に合わせて選択できます。
- ステージ面 : 25mm × 40mm
- 移動量 : ±17mm
- 自重 : 0.12 kg
- 他にも、全長 90mm / 120mm / 150mm(ハンドル部除く)のラインナップがあります。
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用のポイント:ハンドル一回転の移動量が長くすれば、回す回数を少なくできます。
長い距離を移動させる、また、その繰り返しが必要なとき、ハンドル一回転の移動量が小さいステージだと、何回転も何十回転もハンドルを回さなければなりません。高さなどの位置の調整は何度も繰り返す作業ですので、これだと少し大変ですよね?
逆に、ハンドル一回転で移動する距離を長くできれば、回す回数は少なくて済みます。それには、ハンドルの駆動部分が「多条ネジ」になっているタイプのステージがおススメです。
一般的なネジ(一条ネジ)は、1ピッチの間に1条の螺旋があります。他に、1ピッチの間に2条・3条と複数の螺旋があるネジもあり、これらを多条ネジと言います。多条ネジの場合、一回転で進む距離はネジピッチの条数倍になります。ちなみに、多条ネジは食品や調味料、日用雑貨等のネジキャップ付きのボトルなどに多く使われています。
Z軸ステージを搭載したUV接着治具
レンズメーカーの組立工程で使用しているUV接着治具の改善事例です。
課題: UV接着器のヘッド高さ設定の作業性が悪く改善が必要でした。
カメラモジュールの筐体と基板をUV接着しています。生産するカメラモジュールの機種が変わるたびに、UV接着器のヘッド高さと位置の変更が必要です。
このカメラモジュールの場合は、接着部とヘッドの距離が15mmになるように設定しています。ヘッド高さの変更は、ボルトを緩めてヘッドを取付けたベースを長穴に沿ってスライドさせて位置決めした後、再度ボルトを締め直して固定します。
UV照射によるカメラモジュールの筐体と基板の接着は、前後左右、4方向から行う必要があり、UV接着器4セット分のヘッドの高さ変更が必要です(上記の図は、1方向のみを抜粋)。すべてボルトを緩めたり締めたりしなければならず、とても面倒な作業です。
解決! Z軸ステージの採用で、高さ設定が簡単・確実・スピーディーに!
ボルトを緩めてベースを手でスライドさせる作業、位置決めしてからボルトを締め直す作業が不要になり、大幅な変更作業の時間短縮になりました。ヘッド高さ変更後は、標準装備のストッパーを締めることで、ずれることなく高さをしっかりと維持できます。
接着部とヘッドの距離の微細な調整(15mmに設定)も、スムーズなハンドル操作で簡単に、確実に行うことができるようになり、作業スピードのみでなく作業精度も向上しました。
Z軸ステージ(ZTSC-120)の特徴
- 長いストロークを規則的なピッチでなめらかに摺動します。
- 狭い空間でも操作しやすく、微細な調整が簡単に行えます。
- ハンドル1回転の移動量を 2mm・5mm・10mm の中から選択できます。
- ステージ面 : 25mm×40mm
- 移動量 : ±42mm
- 自重 : 0.2 kg
- ステージ本体:アルミ合金製(スケルトンステージ除く、XYステージ 他 全ステージ共通)
- 表面処理 : 梨地黒アルマイト
応用ポイント:XYステージや回転系ステージとの組み合わせでさらに便利に!
今回の事例では、XYステージでUV接着器のヘッド位置を、傾斜ステージや回転ステージでヘッドの傾きを調整できるようにすれば、最適な照射距離を設定する作業性がさらに向上するでしょう。
「XYステージと回転系ステージを組み合わせる」という選択肢を持つことで、ワークや作業内容に合った、より作業効率や確度の高い環境作りができると思います。